NFTとは、ブロックチェーン上で発行される代替不可能なデジタルトークンのことで、デジタルアートやゲームアイテムなどのデジタルコンテンツに価値や所有権を付与する技術です。近年、NFTは高額で取引される事例が多く報道され、注目を集めていますが、一方で、NFTの法的位置付けや金融規制、著作権や税金などの問題も浮上しています。NFTが一般層に受け入れられるには、どのようなことが必要なのでしょうか。本記事では、NFTの普及に必要な3つのトピックを解説します。
NFTの基礎知識を身につける
NFTを取引するには、ブロックチェーンや暗号資産（仮想通貨）などの基礎知識が必要です。ブロックチェーンとは、分散型のデータベースで、取引データが改ざんされにくく、信頼性が高いとされる技術です。暗号資産とは、ブロックチェーン上で発行されるデジタルトークンで、物品や役務の代価として使用できたり、他の暗号資産や法定通貨と交換できたりするものです。NFTは暗号資産の一種ですが、他の暗号資産と違って、個々のNFTは固有の特徴や属性を持ち、同じものと交換できません。そのため、NFTはコレクタブルやアート作品などに適しています。
基本的な用語や仕組みを知る
- NFTを取引する前に、ブロックチェーンや暗号資産に関する基本的な用語や仕組みを理解する
- NFTを発行する場合は、イーサリアムなどのブロックチェーンプラットフォームやERC-721などのトークン規格について学ぶ
- NFTを売買する場合は、OpenSeaやRaribleなどのNFTマーケットプレイスやMetaMaskなどのウォレット（暗号資産を管理するアプリ）について学ぶ
用語や仕組みを知ろう
NFTを取引する前に、ブロックチェーンや暗号資産に関する基本的な用語や仕組みを理解することは重要です。ブロックチェーンや暗号資産は専門的な知識が必要であり、初心者にとっては難しいかもしれませんが、インターネット上には多くの情報源があります。例えば、「All About」や「ビットコイン入門」などのサイトでは、初心者向けにわかりやすく解説しています。また、「Coincheck」や「bitFlyer」などの国内取引所では、暗号資産を購入したり売却したりすることができます。これらのサイトでは、暗号資産に関するニュースやコラムも提供しており、最新の動向を把握することができます。
暗号資産について調べてみよう
NFTを発行する場合は、イーサリアムなどのブロックチェーンプラットフォームやERC-721などのトークン規格について学ぶ必要があります。イーサリアムとは、スマートコントラクトと呼ばれる自動実行されるプログラムを利用できるブロックチェーンプラットフォームです。スマートコントラクトを使って、NFTを発行したり、売買したりすることができます。ERC-721とは、NFTの標準的なトークン規格の一つで、NFTの特徴や属性を定義したり、所有者や移転履歴を追跡したりすることができます。イーサリアムやERC-721については、「Ethereum Japan」や「ERC-721」などのサイトで詳しく説明されています。
実際に購入してみよう
NFTを売買する場合は、OpenSeaやRaribleなどのNFTマーケットプレイスやMetaMaskなどのウォレットについて学ぶ必要があります。OpenSeaやRaribleとは、NFTの売買を仲介するオンラインサービスです。これらのサイトでは、様々なジャンルやカテゴリーのNFTを見つけたり、出品したり、入札したり、購入したりすることができます。MetaMaskとは、ウェブブラウザにインストールできるウォレットです。ウォレットとは、暗号資産を管理するアプリで、暗号資産の残高や送受金履歴を確認したり、暗号資産を送金したり受け取ったりすることができます。MetaMaskでは、イーサリアムやERC-721準拠のNFTを管理することができます。OpenSeaやRaribleでは、MetaMaskと連携してNFTの売買を行うことができます。
ブロックチェーンや暗号資産って難しそうだけど、興味はあるな
最初は分からなくても大丈夫だよ。少しずつ勉強していけば理解できるようになるよ
そうかな？じゃあ、まずはインターネットで調べてみるかな
NFTの法的・税務的な問題に注意する
NFTを取引するには、法的・税務的な問題にも注意しなければなりません。NFTは新しい技術であり、現行の法律や税制に適合しない場合もあります。また、NFTの取引には国際的な側面もあります。そのため、NFTの取引に関しては、以下のような点を把握しておく必要があります。
私たちの権利について知る
- NFTの法的位置付けを確認する
- NFTの所得税や消費税の取扱いを確認する
- NFTの著作権やプライバシーの問題に注意する
NFTの法的位置付けを確認する
NFTの法的位置付けを確認することは重要です。NFTはブロックチェーン上で発行されるデジタルトークンですが、その性質や内容によっては、有価証券や金融商品とみなされる可能性があります。その場合、金融商品取引法や資金決済法などの規制が適用されることになります。また、NFTの売買には仮想通貨を利用することが多いですが、仮想通貨も資金決済法で定められた暗号資産として扱われます。そのため、仮想通貨取引所やウォレットサービスなどは登録制度や報告義務などを遵守しなければなりません。さらに、NFTの取引は国境を越えて行われることもありますが、その場合は各国の法律や規制にも従う必要があります。したがって、NFTを取引する際は、自分が関与するNFTや仮想通貨がどのような法的位置付けにあるかを事前に調べておくことが必要です。
NFTの所得税や消費税の取扱いを確認する
NFTの所得税や消費税の取扱いを確認することも重要です。国税庁は2022年1月にNFTに関する税務上の一般的な取扱いについてFAQを公表しました。それによると、NFTは暗号資産などの財産的価値を有する資産と交換できるものである場合、そのNFTを用いた取引については所得税の課税対象となります。具体的には、以下のような場合が挙げられます。
- NFTを売却した場合：売却代金から原価（購入代金や製作費）を差し引いた利益が雑所得として課税されます。
- NFTを譲渡した場合：譲渡相手から受け取った対価（仮想通貨や現金）から原価（購入代金や製作費）を差し引いた利益が雑所得として課税されます。
- NFTを報酬として受け取った場合：受け取った時点での市場価値から原価（製作費）を差し引いた利益が雑所得として課税されます。
- NFTを購入した場合：購入代金は原価として扱われますが、仮想通貨で購入した場合は、仮想通貨の売却とみなされて雑所得が発生する場合があります。
また、NFTの取引には消費税もかかる場合があります。消費税法では、NFTは有形動産とみなされるため、NFTの売買や譲渡には消費税が課税されます。ただし、NFTの売買や譲渡に仮想通貨を利用した場合は、仮想通貨は消費税法上の有価証券とみなされるため、消費税が非課税となります。したがって、NFTの取引においては、対価の支払い方法によって消費税の取扱いが異なることに注意する必要があります。
NFTの著作権やプライバシーの問題に注意する
NFTの著作権やプライバシーの問題に注意することも重要です。NFTはデジタルコンテンツに価値や所有権を付与する技術ですが、そのデジタルコンテンツには著作権や肖像権などの知的財産権や人格権が関係する場合があります。そのため、NFTを発行する際や取引する際には、以下のような点を確認する必要があります。
- NFTを発行する際：自分で作成したオリジナルのデジタルコンテンツであるか、他人の著作物を使用する場合は許諾を得ているか、肖像権やプライバシー権を侵害していないかなどを確認する。
- NFTを取引する際：NFTの所有権とデジタルコンテンツの著作権や使用権が一致しているか、NFTの所有者がデジタルコンテンツを自由に利用できるか、二次的利用や再配布などに制限があるかなどを確認する。
NFTって面白そうだけど、色々と気をつけないといけないんだね
そうだね。NFTはまだ新しい技術だから、法律や税制も追いついていない部分があるんだよ
じゃあ、NFTを始める前にはしっかりと勉強しておかないとね
NFTの社会的・環境的な影響に配慮する
NFTを取引するには、社会的・環境的な影響にも配慮しなければなりません。NFTはデジタルコンテンツに価値や所有権を付与する技術ですが、その裏では、ブロックチェーンの運用に多くのエネルギーが消費されています。また、NFTはデジタルコンテンツの流通や表現の自由を促進する一方で、不正や詐欺、盗用などのリスクも高めています。そのため、NFTの取引に関しては、以下のような点を考慮する必要があります。
社会貢献につながる活動をする
- NFTのエネルギー消費量を抑える
- NFTの不正や詐欺、盗用を防ぐ
- NFTの社会貢献や慈善活動を支援する
NFTのエネルギー消費量を抑えることは重要です。NFTはブロックチェーン上で発行されるデジタルトークンですが、ブロックチェーンは分散型のデータベースであり、多数のコンピュータが参加してデータの整合性や安全性を保つために計算を行っています。この計算には大量の電力が必要であり、特にイーサリアムなどのプルーフ・オブ・ワーク（PoW）と呼ばれる方式を採用しているブロックチェーンはエネルギー効率が悪いとされています。実際、イーサリアムの年間消費電力は約50TWhであり、ニュージーランドやスイスなどの国家レベルに匹敵します。このようなエネルギー消費量は地球温暖化や気候変動などの環境問題に悪影響を及ぼす可能性があります。したがって、NFTを発行する際や取引する際には、エネルギー消費量を抑える方法を探る必要があります。
もっと自然と共存するプロジェクト
NFTのエネルギー消費量を抑える方法としては、以下のようなものがあります。
- プルーフ・オブ・ステーク（PoS）やプルーフ・オブ・オーソリティ（PoA）などのエネルギー効率の高い方式を採用するブロックチェーンプラットフォームを利用する。例えば、イーサリアムは2022年中にPoWからPoSへ移行する予定であり、その際にはエネルギー消費量が大幅に削減されると期待されています。
- レイヤー2と呼ばれるブロックチェーン上層の技術を利用する。レイヤー2とは、ブロックチェーン本体（レイヤー1）とは別にデータや処理を行う技術であり、スケーラビリティや速度、コストなどを改善することができます。例えば、PolygonやImmutable Xなどのレイヤー2ソリューションは、NFTの発行や取引において、エネルギー消費量を大幅に減らすことができます。
- カーボンニュートラルやカーボンオフセットなどの環境保護の取り組みに参加する。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を同じにすることで、地球温暖化の影響を最小限に抑えることです。カーボンオフセットとは、自分の排出した温室効果ガスの量に相当する分を他の場所で削減したり、吸収したりすることです。例えば、AerialやOffsetraなどのサービスは、NFTの発行や取引に伴うカーボンフットプリント（二酸化炭素排出量）を計算し、それに応じて植林や再生可能エネルギーなどのプロジェクトに寄付することができます。
NFTってこれから、もっと地球に優しくなれるといいね
そうだね。NFTはデジタルコンテンツに価値を付ける技術だけど、環境も大切にしないとね。
じゃあ、NFTを使うときはエネルギー消費量を抑える方法を探したり、環境保護に貢献したりしないとね
まとめ
NFTはデジタルコンテンツに価値や所有権を付与する技術ですが、その取引には様々な問題や課題があります。本記事では、NFTの普及に必要な3つのトピックを解説しました。それらは以下の通りです。
- NFTの基礎知識を身につける：ブロックチェーンや暗号資産などの基本的な用語や仕組みを理解し、NFTの発行や取引に必要なプラットフォームやサービスについて学ぶ。
- NFTの法的・税務的な問題に注意する：NFTの法的位置付けや規制、所得税や消費税の取扱い、著作権やプライバシーの問題などを確認し、適切に対処する。
- NFTの社会的・環境的な影響に配慮する：NFTのエネルギー消費量を抑える方法を探し、不正や詐欺、盗用などのリスクを防ぎ、社会貢献や慈善活動に支援する。
NFTはデジタルコンテンツの価値を高めるだけでなく、新しい文化やコミュニティを生み出す可能性を持つ技術です。しかし、その技術を使うには、知識や法律、環境などの面での配慮が必要です。NFTを始める前には、本記事で紹介したポイントを参考にして、NFTの取引における問題や課題に対処できるように準備しておきましょう。
